「食えない」とよく聞く画家ですが、その実態とは(写真:CCCメディアハウス)
繊細で洗練された技術と人間味あふれる作風は唯一無二と評価され、これまでの制作作品700点あまりが完売している洋画家、中島健太さん。大学3年生でデビューし、そこからプロ画家として活躍していますが、美大生時代は教授からも「絵描きは食えない」という言葉をよく聞いていたそうです。実際、中島さんも「絵が売れても画家の取り分は3割にすぎないので、それだけで生計を立てていくのは難しい。だから日本でプロ画家として生計を立てられている人はかなり少ない」と話しますが――。

絵の価格の基準は「サイズ」で決まる

そもそも絵の価格は、どのようにして決まるのか。

日本には独自のシステムがあり、「号単価」の基準で価格が決まります。号とは絵のサイズです。

絵が描かれる土台となるものを「支持体(しじたい)」といいます。一般的にはキャンバスや木製パネルですが、その大きさは「号数」によって規格化されています。いちばん小さいものが0号で、大きいものは500号まで、25種類程度あります。

号数は、長辺の数字とリンクしています。つまり、長辺を測って以下の「日本絵画標準サイズ」と合わせると、その絵の号数がわかります。

また、号数にはタイプがあり、大きく分けると、F(Figure=人物)、P(Paysage=風景)、M(Marine=海景)、S(Square=正方形)の4種類があります。これらは人物、風景、海景を描くときに美しく描くことができる大きさとされていますが、必ずしも人物を描くならFにしなければならない、というわけではありません。

この4種類に加え、日本サイズとフランスサイズがあるため、なかなかややこしいのです。