イラスト:小林マキ
「せきやくしゃみをしたり、大声で笑った拍子に《ちょいもれ》」「突然尿意を感じてトイレにかけこんだものの、間に合わなかった……」。加齢とともに、こうしたトラブルが増えてきます。深刻な症状になる前に、自分で改善したいものです(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》)

筋力の低下でもれやすくなる

排尿のトラブルの中でも、もっとも多いのが《ちょいもれ》 です。

「笑ったり荷物を持ち上げたりして、お腹に力が入ったはずみに尿がもれてしまうことを『腹圧性尿失禁』といいます。人には言えないと悩んでおられる患者さんは多いのですが、日本で腹圧性尿失禁を週に1度以上経験している女性は500万人以上いるというデータもあり、決して珍しい症状ではありません」

そう説明するのは、日本大学医学部附属板橋病院院長の高橋悟先生です。女性は男性より尿道が短いため、もともと尿がもれやすいうえ、年齢とともに筋力が衰え尿道がゆるみやすくなることが尿もれの原因だそう。

「膀胱を下から支え、尿道を締める役割をする骨盤底筋や、尿道を外側から締めている尿道括約筋の筋力が加齢とともに低下。すると、何か圧がかかった拍子に尿がもれてしまうのです」(高橋先生。以下同)

年齢を重ねると、尿もれだけでなく膀胱そのものの柔軟性も低下し、頻繁に尿意をもよおすという問題も出てきます。

「膀胱の柔軟性がなくなると、尿を溜められなくなり、少しの尿でも外に出そうとして膀胱が収縮。それでも尿道を締められれば、尿意はがまんできるのですが、尿道が締まりにくくなっていると、膀胱の収縮を抑えられず、頻繁に尿意を感じるようになります」

尿意が抑えられないと、早めにトイレに行っておかなくてはという意識が働いて、回数が増えてしまうことに。

「正常な排尿の間隔は3~4時間ごとに1回、頻度は1日5~7回。それ以上になると、いわゆる頻尿の可能性があります。気になる人は自分の排尿回数を記録してみましょう」