画家たちのパワーに影響を受けた木々たち

私が今回のテーマに選んだのは、「Bateau L’avoir(バトー・ラヴォワール=洗濯船)」。ピカソらの巨匠たちがまだ無名時代に住んでいた共同アトリエ兼アパートの名前で、それがあった場所に面した広場を描いた。

アパートは1970年代に焼失。今はモンマルトル美術館が管理する緑のショーウィンドウが残るのみだが、偉大な才能が行き来した広場には不思議な磁力がある。

私はそれと知らずに、2度目のフランス行きでその広場に面する「Timhotel Montmartre」に宿泊した。そのホテルを選んだのもまったくの偶然で、旅行会社から送られた広場の写真が気に入り選んだだけだが、その後憧れの芸術家たちゆかりの地だったと知って、戦慄さえ覚えた。

画家たちのパワーに何か影響を受けたのか、その広場では、奇妙にねじれた枝ぶりの梢が、天空を支えるテントの骨組みのように頭上に広がっている。冬にその魅力は一段と増し、私は冬枯れのその広場を、入選作のテーマにした。

入選作「Bateau L’avoir(バトー・ラヴォワール)」(画:さかもと未明 2021)

 

実際のその広場の冬の様子は、古い石のくすんだアイボリーと、黒に近いこげ茶の木の色で出来ている。しかし、私はその広場に満ちる不思議なエネルギーを表現したくて、さまざまな色の混合体として描いた。最終的には少し落ち着いた色調になったが、「応募写真撮影後、加筆禁止」でなければ、更に鮮やかな色を足していただろう。そのくらい、そこにはエネルギーがある。いや、その場所を見るだけで私の心が極彩色に踊るのだ。