尊敬する完璧な母。でも私は私
私と母(編集部注・女優の富司純子さん)も何かと言い合ってはきましたね。ここで語り尽くせないくらい、いろいろありますよ(笑)。母は私の息子・眞秀(まほろ)を歌舞伎役者として一人前にしたいと思ってくれているので、それはもうたくさんのアドバイスをくれます。ところが当の眞秀はすでにサッカー、野球、ハンドボール、アート、フランス語、常磐津、日本舞踊も3人の師匠に習っていて、家族で一番忙しいんです。ホワイトボードに「今日やること」っていう一覧リストが書いてあって、私もそのマネージメントと送迎でてんてこ舞い。常に眞秀を急かしているような気がします。
こちらは次にやらなきゃいけないことが詰まっているから、いつもイライライライラ。そこにきて母から「鳴り物やお能も習わせた方がいいわね」、「お習字も必要なんじゃない?」「家庭教師も早くつけたほうがいいわよ」などと言われてしまう。現場にいる私のところに矢継ぎ早に連絡が来たりすることもあるのです。眞秀のことを考えてくれるのは有難いのですが、いまでも仕事と子育てでいっぱいいっぱいな私に「そんな時間はどこにあるんですか?」っていう話なんです。
母は結婚してから第一線を退いて、歌舞伎役者の妻としても、母としても全力でやってきた人です。母のことを完璧な母と思って尊敬はしていますけど、私は私、うちはうち。自分を強く持って「放っておいて!」というスタンスですが、やっぱり翻弄されてますね。別々の家に暮らしていても母にとって、私は「娘」。「今何歳だ私?」って思いますよ。いまだに子ども扱いですから。受け入れられないことはやんわり断りますが、今度は母が逆ギレしだして「もういい! 知らないわよ!」ってなったりもします。(笑)
同じく伝統芸能一家のご長男・和泉元彌さんに嫁がれた羽野晶紀さん、どうしてるのかな?ってたまに思い出します。上手くやっていらっしゃるみたいだから、頭の良い方なんだろうなって、彼方から尊敬していますね。(笑)