人気漫談家・綾小路きみまろさん。舞台に立てず、苦しい日々を過ごしていると思いきや(写真提供:綾小路きみまろ事務所)
52歳でメジャーデビューを果たした人気漫談家・綾小路きみまろさん。きみまろさんの主戦場は「舞台」ですが、コロナ禍で公演がのきなみ延期、もしくは中止となってしまいました。さぞ苦しい日々が続いていると思いきやどっこい、きみまろさんがライフワークとしてきた畑仕事にあらためて向き合うことができ、その結果、見えてきたものもあったそうで――。

舞台が主戦場だったので大打撃

「俺もとうとう70歳になった。ひざもコキコキ鳴り出した。そうか、これが古希(こき)なのか……」なんて思いながら、「残りの人生をどう過ごそうか」と考えていました。

そんなときに、新型コロナウイルス騒動が起こったのです! こんな時代がやってくるなんて、誰が想像したでしょうか。

何気ない日常を過ごしていた頃、思い出しますよね。

奥様は赤い口紅を塗って、お出かけされていました。まるで畦道(あぜみち)に咲いた彼岸花、あるいはカレーライスに添えられた福神漬けのように、口元だけが若返っていたことでしょう。

タモリさんやビートたけしさん、明石家さんまさんらは、今も第一線で活躍されています。彼らは、テレビを戦場にして売れて、生き残ってきました。一方で、私は舞台が主戦場です。地方の隅々まで行って、私は私なりに自分のテリトリーを守ってやってきた。そういう自負はあります。

それが、コロナ禍でパタリと止まってしまった。これは正直、かなりショッキングな出来事なのです。