家庭菜園で儲けや得を期待するのはやめよう

農作業の真髄といえば、作物とともに自分が成長できること。成功や失敗なんて関係ない。「生き物を育てているんだ!」と実感できるのが醍醐味(だいごみ)ですね。

そして、採れたての野菜は、料理上手な妻の手によって、さまざまな絶品料理に様変わりします。私は青虫か毛虫か! ってぐらい、野菜のオンパレードなのです。

それを毎回、おいしく、ありがたくいただいております。

「家計を助けるために家庭菜園をやろう!」なんていう下心など、持ってはいけません(写真はイメージ。写真提供:写真AC)

ある一般男性から、家庭菜園について、こんな嘆きを聞かされたことがあります。

そのかたは私に刺激を受けて、農作業をしてみたいと思って家庭菜園を始めました。農地は役所が貸してくれて、レンタル料は一区画で1年・1万円だったそうです。

ところが、100円で買ってきたキャベツの苗を春に植えて、夏にようやく育ったキャベツは虫食いだらけで、見るも無残! 

奥様には「そんなものは食べられない」と拒否されて、結局、その日にスーパーで1玉99円の、キレイで大きなキャベツを買う羽目に……。育てたキャベツは食べてもらえず、結果はマイナス1円と長期間の苦労のみだったそうです。

家庭菜園の基本は、儲けや得を期待しないことが大切です。しょせん、素人が作る野菜なんて量もわずかだし、見た目も悪い。「家計を助けるために家庭菜園をやろう!」なんていう下心など、持ってはいけません。

私もかつてそうでした。

家庭菜園を始めた頃は、育ったニンジンや大根が小さくて、細い。ところがスーパーに行くと、皮肉にも、立派な農産物が安く売っているんです。

スーパーの野菜を買って帰って、夜中にこっそり自分の畑に行って差し込もうかと、泣きたくなるほどみじめな計画を画策したこともありました。「こんな立派な大根ができました!」と、近所に配って見栄を張ろうとしてね。

それで、スーパーの立派な野菜を見てガックリきた私は、「ああ、やっぱり簡単にお金は入ってこないんだ。俺には漫談しかないんだな」と、改心したわけです。