【図】エストロゲンの減少と生活習慣病などの異常頻度

骨が折れやすくなり要介護の要因に

また、コラーゲンはしなやかな骨を保つためにも欠かせないもの。骨がしなやかであれば、ある程度の衝撃を受けても柔軟に跳ね返すので、簡単に折れることはありません。反対に、しなやかさを失ってカチカチに硬くなっていると、わずかな衝撃を受けただけでも折れてしまうのです。

だから、骨粗しょう症になる女性の割合が男性の10倍以上にも上るのは、もともと骨や筋肉が弱いうえに、女性ホルモンの減少にともなって骨のしなやかさが失われてしまうことが影響しています。

さらに、骨密度は全身でまんべんなく低下しますから、わずかな力が加わるだけであちこちの骨が折れやすくなる。

早い人の場合、60代後半くらいから、軽く転んだ程度で背骨や脚のつけ根、膝のお皿部分や足首、手首などの骨がたやすく折れてしまいます。骨折で死ぬことはないと思われがちですが、大腿骨頭が折れると動けなくなって、要介護や寝たきりの要因に。とても危険です。

いわゆる、ポキンと折れる骨折だけでなく、閉経後は、背骨の椎骨を圧迫骨折する女性も増加します。背骨はドラム缶のような形をした椎骨がいくつも積み重なっており、椎骨の後ろ側には突起があるので比較的強いのですが、無防備な前側の骨は、ドシンと尻もちをついただけで簡単につぶれてしまう。

そのせいで、背骨が前側にどんどん丸くなっていき、腰が痛くなったり、日常生活に支障をきたすようになるのです。閉経前後の女性には、ぜひ骨密度の検査を受けていただきたいですね。

コレステロール値や脳の機能にも影響が。閉経後の不調を和らげるホルモン補充療法のメリット〈後半〉につづく