圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第13回は「男役は背中で物を言う」のお話です
最初の一歩は予想を超えて
誰もが人生のどこかで一度は出くわすであろう宝塚歌劇のポスター。
宝塚初心者に、怖さと抵抗感を与えるあの「宝塚メイク」が、
大きな劇場の一番後ろや端に座ったお客様にも表情を見てもらうためのものだと知ったのは、宝塚に入ってからでした。
強いスポットライトにも、豪華絢爛な衣装やセットにも負けない
あの作りこんだメイクをすることで、
虚構の世界に生きることができるのです。
初めて宝塚メイクをしたのは、音楽学校の時でした。
初舞台を踏む組の上級生が来て指導をしてくれます。
私は月組で初舞台だったので、月組の上級生に教えていただきました。
宝塚にはヘアメイクさんはいません。
メイクも髪型も全部自分で作ります。
初めての宝塚メイク、
どんな顔になるのだろうとドキドキしながら臨みます。
ドーラン塗ってお粉を叩いて
次は 次は 次は・・・
手順が多すぎる・・・
結果
「・・・・・・・・・・?!」
自分の予想を遥かに大きく超えてくる出来上がりに驚愕。
普段から化粧をする事がなかった私には、
第1回目の宝塚メイクは大きなショックと共に終了。