(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第14回は「尊敬してやまない下級生」のお話です

ネクタイを首にかけたまま…

宝塚には、約1か月半続く通常の公演期間中に1回だけ
入団7年目までの下級生だけで行う「新人公演」というものがあります。
新人公演は若手育成の場であり、試練の場です。

上級生のお衣装をお借りして舞台に立つのですが、
あるとき、そのお借りするお衣装にネクタイがありました。
その方は、早替わりの都合上、仕掛けにしてあるネクタイでした。
仕掛けというのは、すぐに結べるように輪っかに作っておいて、
頭をくぐらせネクタイを締めるというものです。

ネクタイの結び方など知るはずもなく、
とりあえずその形状のまま頭をくぐらせ、
その後締めるという手順をわかっていなかった私は、
首にかけたままの姿で舞台に上がりました。

きっちりスーツを着用してのかっちりした場面なのに、
一人ネクタイを緩めた酔っ払いのような姿で登場。
お借りした上級生は、幸いにも笑いながら許してくださいました。

新人公演とは、
こうして失敗をしながら成長を遂げていくという公演なのです。(たぶん)