声の不思議を考える
金田一 僕、前に清水さんにお会いした時に、大原麗子さんのモノマネが一番好きだって言いましたよね。あれよりも今好きなのは、朴槿恵(韓国の前大統領)。
清水 あはは、よく知ってますね。(しおらしく)「もう、悪いことしないよ」。
金田一・小林 はははは。
清水 韓国のえらい人ってそれまですごく勢いがあるのに、逮捕されたりすると、途端に弱々しくなるようなところがあるでしょう。ナッツ姫もそうだったけど、その極端さが印象的で。
小林 ある意味、素直な性格なのかも。活字でこの面白さを伝えるのは、難しそうですね。
金田一 どう考えても日本語でそんなこと言うはずないのに、なんで似てると思っちゃうんだろう(笑)。確かに、朴槿恵以外の何者でもないわけですよ。不思議で仕方ない。前に聞いた腹話術師のラジオドラマも、そのわけのわからなさがおかしかったですよ。
清水 腹話術だから、本人は口を動かしてないわけですよね。
金田一 わかんないのよ、だってラジオなんだもん(笑)。でも腹話術独特の声ってあるから、そうなのかな、と思いながら聞いてみたり。小林さんは、ラジオドラマをやったことはありますか?
小林 はい。いわゆるテレビでの演技と比べると、何かとてもクラシックなことをやってるなっていう感覚になりますよ。それに、テレビなら身振り手振りで伝えられることも、声だけが頼りの演技になるので。
清水 そういえば、ラジオの通信販売は返品率がものすごく低いんだって。テレビと違って商品説明を一生懸命聞くし、考えるから勘違いも少ない。テレビだと視覚的な魅力だけで、衝動的に買っちゃうところがあるのかもしれない。
金田一 今の話で思い出したんですけど、この前、家の近くを運転していたら、白杖を持った女性がいたの。道を譲ろうと、車の窓を開けて「どうぞ」って声をかけたんですよ。そうしたら、その人が僕のほうをパッと向いて、「金田一先生ですか?」って。
小林・清水 えーっ!
清水 知り合いじゃないんですよね?
金田一 ぜんぜん知らない人。たぶん、テレビやラジオで聞いた僕の声が記憶されてたんだと思うのだけど。僕って、そんなに特殊な声ですか?
清水 それにしても、「どうぞ」の3文字だけで言い当てるっていうのが、すごい。
小林 ミッちゃんの声だったら、私わかるかもしれない。
清水 「どうぞ」
小林 「あ、清水さんですか?」
清水 このコントやめて。(笑)