ゴルゴさんが行っているボランティア講演で(写真提供◎ゴルゴさん)

ゴルゴ :気持ちなんだよな。まずは質問したりして彼らとやりとりをする。「好きな食べ物何?」とか身近なこと、積極的に手を上げない子を当てて聞いてみたりね。ラーメンが好きな子には「俺はラーメンに卵を入れるけど、少し金あるとソーセージ入れるのが贅沢だったな」とか。

そんなやりとりをした後、漢字や歴史の話をするよ。女へんの字がどれだけ多いか、女へんに「台」で「始まる」。女の人を土台にして命は始まるんだぞ、お母さんに感謝しようなとか。でもお母さんに会ったことない子もいるから、出会った女の人大事にしようぜ、って。

青木 :ゴルゴさん、少年院を出所した子のお母さんから連絡をいただいたこともあるんですよね?

ゴルゴ :そう、その女性は、少年院から出てきた息子に「お母さんありがとう」と言われて、初め何が起きたかわからなかったらしい(笑)。どうやら息子は少年院で俺の話を聞いたらしくって。

青木 :お母さん初めはびっくりされたのですね。

ゴルゴ :その後、息子の方からも「これからはお母さんに『ありがとう』と言ってもらえるように頑張ります」って手紙もらって、あれはちょっと感動したな。悪い大人の見本を見てきた子どもたちに、真っ当な大人もいるんだってことを知ってもらって、変わるきっかけになったらいいなと思っているんだよね。

『「命」の相談室-僕が10年間少年院に通って考えたこと』(著:ゴルゴ松本/中公新書ラクレ)