「この危機をプラスに転じ、人生を最後まで楽しく生きられるようにするにはどうすればいいか、一人ひとりがそれを考え、行動するきっかけになるのが今だと思います。」

 

好きなことを続けて、実りある人生を

「食事」「運動」とあわせて大事なのが、「意識と生活習慣を変える」こと。歳をとると意欲が低下し、行動範囲は狭くなります。自粛生活をきっかけに、引きこもりがちになった人もいるでしょう。けれど、脳を刺激するために、いつもと違うことに挑戦してほしいのです。散歩の道順を変えてみる、それだけでもかまいません。

また、社会とのがりを持つことも忘れてはいけないことです。僕は歌手のさだまさしさんと一緒に「風に立つライオン基金」を立ち上げ、介護現場にマスクや医療用ガウンを贈る活動をしています。感染症が増えているイラクへの支援も始めたところです。自粛期間中も、連日、さださんたちとリモート会議。社会の役に立てることを見つけ、できることをやる。ステイホームでも退屈する時間はありません。

僕も歳を重ねていくなかで、人の名前がなかなか出てこなかったり、書斎に資料の本を取りに行ったのに、目に留まった別の本を夢中になって読み、ふと、「何をしにここに来たんだっけ」と思ったりすることがときどきあります。認知症は他人ごとではありません。だからこそ、体や脳のための健康習慣を続ける努力をしようと改めて思うのです。

認知機能の低下に気づいたのが僕個人の危機なら、この新型コロナは私たちみんなにとっての大いなる危機です。この危機をプラスに転じ、人生を最後まで楽しく生きられるようにするにはどうすればいいか、一人ひとりがそれを考え、行動するきっかけになるのが今だと思います。

3ヵ月という自粛生活を通し、テレワークなど、働き方の改革も一歩進みました。買わない習慣に慣れたことで、「モノはそんなになくても暮らしていける」と気づいた人も多いでしょう。精神的な満足を優先するなど、新たな価値観を手に入れた人もいるかもしれません。

今後、さらなる価値観の大転換が起きる予感がしますが、何をするにしても、心と体のパワーが不可欠だということに変わりはない。僕は80歳になってもイラクの難民キャンプの子どもたちの診察をしたいし、90歳を迎えてもゲレンデで滑れる体力を維持していたいと願います。最期までピンピン生きて、ヒラリとあの世に行く……。ピンピンヒラリ、「PPH」です。

歳をとっても、ひとりでレストランに行き、好きなものを注文して食べる。ときどきは日帰り温泉でゆったり時間を過ごす。やりたいことは人それぞれでしょうが、そんなふうに心と体を動かすことができるのがPPHです。

繰り返しになりますが、コロナ時代へと突入した今の過ごし方が、2年後、5年後、さらには数十年後の未来にがります。今日から筋肉や健康の貯金をはじめましょう。自分で決めたルールのなかで、自分の健康は自分で守る──このことをしっかり実践していけば、人生はより実りあるものに変わっていくはずです。