医師で作家の鎌田實先生は「孤独を無理に癒さず、望んで得よう」と提案しますが(写真提供:写真AC)
コロナ禍において提唱された新しい生活様式、その基本は「個のすすめ」でした。人混みは避け、買い物も外食も原則ひとり。極力人に会わないことを強いられた時間の中で「孤独」に不安を覚えた方も多いのでは。しかし医師で作家の鎌田實さんは「孤独は無理に癒すのではなく、むしろ楽しめるようになれば自分自身の本来の姿に立ち返ることができる。つまり、望んで孤独を得よう」と提案します。

高齢者の3割は友達がいない

NPO法人「老いの科学研究所」の調査では、身体能力が衰えること、認知症の心配などに混じって、「孤独やさびしさ」を訴える人が多いと言います。

孤独を怖がるあまり、「病気になったらどうしよう」と不安でたまらなくなる。その背景を探ると、「一緒に楽しく過ごせる仲間がいない」というさびしさが潜んでいるそうです。

事実、2021年5月に発表された内閣府の調査で、日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの高齢者を対象にした国際比較では、日本の高齢者の3割は友達がいないという結果が明らかになりました。

人生100年時代です。たとえ配偶者や子どもがいたとしても、最後はひとりになるケースが多い。それを考えると、ますます孤独感が募ってしまうということです。