「いざというとき」自分に力を貸してくれるかどうか

もちろん、ひとりでご飯をつくってひとりで食べることも多いでしょう。時に隙をみて、自分が好きな映画や芝居を観に行ったりしながら、自分の時間を自由に使うのは素敵です。定年後の人生をコロナに破壊されずに、悠々と生きている感じが、実にかっこいい。自由に毎日を楽しそうに生きているAさんの側に入り込んで、勝手な想像を広げてみました。

その一方で、「SNSのつながりがあるから孤独を感じない」という人もいます。

確かに社会的孤立のセーフティネットはSNSだという説は否定しません。職場や友人との会話はなくても、ネットを介せばいつでもどこでも会話ができるので、社会的孤立は招かないというのが、その人たちの理屈です。一理ありそうですが、問題はその会話に”中身”があるかどうかだと思います。 

僕が定義する「孤独力」とは、普段は孤独を楽しみながら、“いざというときに手を差し伸べたり、差し伸べられたりする力”なのです。言い換えれば、”そんな人間関係をつくっていける力”です。

でも、SNSで顔の見えない相手といくらつながっていても、その中の何人が”いざというとき”に自分に力を貸してくれるのでしょうか。

※本稿は、『ちょうどいい孤独』(かんき出版)の一部を再編集したものです。


『ちょうどいい孤独-60代からはソロで生きる』(著:鎌田實/かんき出版)

孤独を楽しめれば周囲の雑音に惑わされることなく、自分自身の本来の姿に立ち返ることができる!「孤高」を求めるのではなく、ゆるやかな孤独を楽しむ。そんな大人の生き方を提案する一冊。