セレブ向けの有料介護施設も見学に行きましたが、ロビーは高級ホテルのエントランスのような豪華さでした。浴槽も何種類もあり、毎日好きなタイプのお風呂に入れます。食事も、豊洲市場から直送される魚やA5ランクのお肉、有機栽培の野菜などの素材を使って、有名レストランで修行した料理長が腕を振います。

健康管理の面では、理学療養士が常勤し、リハビリなどにも力を入れていました。著名人を招いてのイベントも毎週開催され、生活にメリハリを与えています。

中には、「どんなグレードの高い施設に入っても認知症が進めば分らなくなるわけだから、1年間だけ月額料金35万円の高級施設に入居したい」という希望を叶えた方もいます。通常は長期入居が前提ですが、他の入居者とうまくいかない、子どもの自宅に近いところに引っ越したいなど、さまざまな理由で短期で退去される方もいます。

この方は自宅近くに有料老人ホームと遜色のない設備の特養が新設されたことで、退去後は、特養の入居を考えていました。特養の完成と同時に申し込んだところ、200人待ちでした。こうなると数年の待機を覚悟しなければなりません。

特養は人気があるだけに、数年待ち、数百人待ち、という施設は珍しくありません。そこで今よりグレードの低い施設に入居し、待つことにしました。ところが、コロナ感染拡大で辞退者が増え、要介護3なのに入居できた例もあります。

どこの特養も空きが出たら基本的には申し込み順に案内しますが、介護度が高い方が優先されます。そのため介護認定を受けたら、特養の検討を始めたり、申し込みをしたりすることをお勧めします。

コロナ感染拡大に伴って、施設に入居している人に親族が会えない状況も。一部では、リモート面会を実現させてくれるところ、電話で話せる機会をつくってくれる施設もあります。家族との交流は介護を受ける人にとって大切な刺激ですので積極的に利用したいものです。

一方で、世話をしている子どもが病気になることも現実にあります。遠距離介護では限界があるケースも考えられます。健康な時から、親子で介護施設を見学するなどして、情報を増やし、さまざまな選択肢を検討してください。