イラスト:カワムラナツミ
2022年3月7日の『あさイチ』(NHK)の特集は「生きがいが見つからない!女性たちの悩みにこたえます」です。年を重ねても生きがいを見つけて輝いている人は、どのようにそこにたどりついたのか。『婦人公論』2021年11月9日号掲載のルポを再配信します。


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何かを始めるのに年齢は関係ないというけれど、「やりたいことが見つからない」「体力がない」「この歳でできることなんてない」などと諦めてしまう人は多いもの。70歳を超えてから生きがいを見つけた3人の女性に話を聞いてみると、そこには人生を楽しむ秘訣がありました(イラスト=カワムラナツミ)

フォロワーは2000人!92歳が紡ぐTwitter

〈生活様式、医療の進歩により、92歳の昭和女が蘇えり、インターナショナルな話題、カラオケ、それにツイッターで若い人との交流ができ、只今老春の真っ只中〉というプロフィールを掲げ、80歳を過ぎてTwitterデビューをしたのは、埼玉県で長男一家と二世帯住宅で暮らす長谷川昌子さん(92歳)。

「マダム昌子」という名前で登録したTwitterは、いまやフォロワー数が2000人を超える。日々の生活で感じたことや読書の感想などを綴ると、その気品ある語り口や瑞々しい感性に幅広い年齢層の人たちからリプライ(返信)が寄せられる。

「多くの方が興味をもってくださって、なんだか恐縮してしまいますが、ありがたいことです。楽しくて、1日があっという間に過ぎてしまうんですよ」

歳を重ねると、新しいことを覚えるのはどうしても面倒くさく感じてしまうものだ。しかし昌子さんはスマートフォンやパソコンを使いこなし、インターネットの世界を楽しんでいる。

「私が70歳のとき、小学生だった孫が学校で習ったという『一太郎』(パソコンで文章を作成するためのソフト)を教えてくれまして。それが初めてパソコンに触れた経験でした。インターネットを使って一緒に情報収集するなど、孫が小さい頃は家でしょっちゅう交流できていたのですが、大きくなるにつれて生活時間が違ってきてしまって。それが寂しくて、孫とやりとりするためにTwitterを始めました」

孫と会話をする方法としてTwitterを選んだことに驚いてしまうが、その発想の柔軟さが、いくつになっても好奇心旺盛で向学心溢れる生き方の源なのだろう。