3月号の書は「光明」です
透き通った心でものごとを見ましょう
私は人を見るとき、着ているものや容姿容貌、性別、国籍、肩書といったものを一切見ません。その人の「心の純度」がどれほど高いか、美しいか、優しいか、品性があるか、思いやりがあるか。それだけを見るようにしています。
実家は長崎の丸山遊郭の近くで、料亭やカフェーを営んでいました。当時は国際色が豊かで活気にあふれていましたね。ときどき、カフェーでお偉いさんがお酒を飲んで暴れたり、女給さんの着物の裾に手や頭を入れる様子を目撃して、肩書などの無意味さを知りました。それから人間の本当の美しさや価値とは何かを、突き詰めて考えるようになったのです。
たどり着いた結論は、考え方や言動などすべてにおいて、「上品さ」と「優しさ」を基準にすることが大切だということ。たとえば他人に対して「あの人はああだこうだ」と言うとき、自分はその人を冷静に批判しているのか。それとも意地悪な気持ちや、ねたみ嫉(そね)みから悪く言っているのか。よくよく自分を分析することをおすすめします。もし自分の中に意地悪さを発見したら、これは下品だと思って、改める努力をなさってください。
上品な精神でものごとを見ようとすると、表面的に目に入ることは全体の一部にすぎない、と気づきます。透明な光明が本質を照らしてくれる。そういう考え方をすると、自身も救われますよ。なぜなら、下品な人間にならないですみますから。
●今月の書「光明」