巨大な船が沈むような迫力で
千秋楽は御嶽海と高安の対決だ、とスッパリ言いたいが、過去を振り返ると二人ともここぞという時に期待を裏切るタイプだからわからない。
「過去を捨てた力士」になって欲しい。
カド番の大関の・貴景勝は押しの迫力が戻ってきて6勝2敗、新関脇・阿炎も6勝2敗で優勝に絡む可能性がある。
どの取組よりもドキドキするのがカド番の大関・正代の相撲。中日で3勝5敗と厳しい。6日目まで、顔も暗く、負けてはいけない泥沼シンドロームにはまっているようだった。
しかし、立ち腰で相撲を取りながら、7日目に前頭3枚目・明生、8日目に前頭4枚目・霧馬山にすくい投げができるのは、よほど上半身の力が強いのだろう。
6日目の正面解説の鶴竜親方(元横綱・鶴竜)が「自分に向きあって、乗り越えるのは自分だけですから」と、正代を励ましていた。
8日目の正面解説の間垣親方(元横綱・白鵬)は、自分の型がある力士の強さを語り、「自分の型になるまで命がけで行け、型になったら落ち着け」と話していた。そして、正代の左差しの型の強さを讃えていた。強い正代が蘇って欲しい。
残念ならが休場となった照ノ富士は、2日目に前頭筆頭・大栄翔に送り出しで負け、5日目は幕内最年長の37歳4か月の前頭2枚目・玉鷲に押し倒された。玉鷲は2場所連続で照ノ富士に勝った。土俵下に落ちる照ノ富士の姿は、巨大な船が沈むような迫力で「ギャー、やっちまった!」と叫んでしまった。不動の強さの照ノ富士として復活してもらいたい。