古くは平安時代の日記から記録のあった「後妻打ち」。女性たちは家を守るためなら戦いも辞さなかった(「往古うハなり打の図」一部。歌川広重筆、江戸時代、東京国立博物館所蔵。colBase) 
小栗旬さん演じる北条義時、大泉洋さん演じる源頼朝ら、権力の座を巡る武士たちの駆け引きが三谷幸喜さんの脚本で巧みに描かれるNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(総合、日曜午後8時ほか)。源平の争いから鎌倉幕府誕生まで、その行方を左右した「合戦」を中心に歴史をひもといていく本連載だが、第3回となる今回は「城」や「国」という視点から少し離れ、それぞれの「家」を守るために戦った女性たちの姿に触れてみたい。

ドラマで描かれた「亀の前事件」とは

3月27日放送回では、源頼朝(大泉洋)の正妻・政子(小池栄子)が懐妊。嫡男誕生への期待が高まる中、当の頼朝は側妻の亀(江口のりこ)に館を与えて日参していた。

政子は万寿(後の源頼家)を産んで、母親としての幸せに包まれるも、頼朝が亀の館で逢瀬を重ねていることを知って激怒する。

継母のりく(宮沢りえ)から前妻が後妻に報復する“後妻打ち(うわなりうち)”という風習を聞き、りくは、兄の牧宗親(山崎一)に相談。

頼朝に灸を据えるべく、宗親へ亀の館を少しだけ壊すように依頼したものの、義経(菅田将暉)の暴走で館は無残にも焼け落ちる……という「亀の前事件」が描かれた。