「以前は週3~4日出ていましたが、さすがに最近は週1回の半日勤務で、ぼちぼちやらせてもらっています」
19歳で看護師となり、約80年仕事を続けてきた池田きぬさん。現在は、三重県津市のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「いちしの里」で働く。ひとり暮らしの池田さんの日常は(構成=山田真理 撮影=林ひろし)

週1回の半日勤務で、ぼちぼちと

私が今の職場で働き始めたのは、88歳の時。生家の近くで懐かしかったのと、新しくできたばかりの施設だったため、「ここで看護人生を終わるのもいいかもしれない」と思ったのです。

「いちしの里」は、社長さんが「終の棲家になるサ高住を作りたい」と考えて始めた施設ですので、要介護度の高い方も入居しておられます。そのような方に医療行為を行うため、施設内には訪問看護ステーションが設けられているのです。そこに私たち看護師が常駐して、入居者を訪問するという仕組みになっています。

仕事は主に、バイタル(脈拍、呼吸、体温、血圧)の測定や、胃ろうのケア、痰の吸引など。認知症を発症して入居された方と、進行予防のために、計算問題を解くのも仕事の一部です。入居者の食事の介助なども行っています。

担当の方のお世話が終わって時間に余裕があれば、清浄用のコットンを補充したり、医療行為に使う資材を整理したり。若い人が気持ちよく働けるように後ろで支えるのも、年寄りの役目かなと。

仕事はシフト制なので、自分の都合で働くことができるのはありがたいですね。以前は週3~4日出ていましたが、さすがに最近は週1回の半日勤務で、ぼちぼちやらせてもらっています。でも1月の勤務表を見たら、週2回になっているところもあるんですわあ(笑)。大丈夫やろかと思いますけど、半日ならどうにかなるかな。

人が少ない時に出ることが多いため、おのずと日曜の出勤が増えます。家族のいる若い人たちは、休日ゆっくり家で過ごせたほうがいいでしょう。その点、私は約20年前に夫を胃がんで亡くして、気ままなひとり暮らし。時間の融通もききますから。

出勤時間はいろいろです。朝早いシフトの時は前日の夕方から行って、職場に泊めてもらっています。遅番の日は隣に住む姪の家族が車で送ってくれますし、バスの時間が合えば1本で行ける。バス停まで徒歩で15分ほどありますが、それも良い運動と思って歩いています。

「いちしの里」で働き始めた頃は、原付バイクに乗っていたんですよ。さすがに周りが「こけたら危ない」と心配するので、91歳でやめましたけれど。