夏から続く体の異変

大学の保健室で2時間程休ませてもらうこともあった。
また、まだ親しいといえる友達はいなかったのだが、たまたま授業で知り合った子がシェアハウスの近くに住んでいて、どうにもならない時はその子の家に避難させてもらい、なんとかしのいだ。

そんな夏がようやく終わるというころ、さらなる異変が現れた。

何を食べても消化できず、お腹がぱんぱんに膨らんで、吸収されない水の存在を常に感じるような状態になった。
だんだんと、普通の食事をとることが難しくなっていった。

そんなある日、出先で急激な腹痛に襲われた。駅のトイレに駆け込むと、酷い下痢で、全身から汗が吹き出し、目の前が砂嵐になった。このまま倒れるんじゃないか、と思うほど強烈な痛みだった。なんとか帰宅したのだが、夜中にまた腹痛で目が覚めた。
今までに経験したことのない痛みで、布団の上でのたうち回るほどだった。

寝室を飛び出してリビングで悶えていると、トイレで起きてきた住人が気付いて、救急車を呼んでくれた。
救急車で運ばれて、一通り検査してもらうも異常は見つからず、「まあ急性胃腸炎でしょう、ご飯も普通に食べて大丈夫です」と明け方には帰された。

しかし、その日から私は、普通食が全く食べられなくなった。
胃酸が出て胃が常にキリキリ痛く、加えて何を食べても下してしまう。
お白湯と、どろどろに煮た野菜やおかゆをほんの少量、という生活が続いた。

食事の時間になっても全く食欲がわかず、豆腐をスプーン1杯食べるのもきつくて、なんとか押し込む。レトルトのお粥でも粒が大きすぎて食べるのがしんどく、30分以上煮込まなければ食べられなかった。

現在に至るまで26年間ありとあらゆる症状に悩まされているが、健康面ではこの時が人生で一番しんどかった。
元々やせ型だったが、そこから1ヵ月で10キロ痩せ、その後も体重は減り続けた。
痩せるとおしりの骨が木製の椅子に当たって、授業で座っているのもしんどくなった。

体調不良で痩せ続けていたころ(写真提供◎ヒオカさん)

冬休みで実家に帰った時、私の身体を見た母が絶句していたのを今でも覚えている。
お風呂の鏡に映った自分は、あばらが浮き出て、異様なほど痩せこけて、目も当てられない姿だった。

ごく少量しか食べていないので当然力もわかず、原因不明の腹痛が続き疲れ果てていた私は、目はうつろで顔は茶褐色。生気の抜けた顔をしていた。当時の写真はほとんどないが、残っているものを見ると別人のようでゾっとする。