「「腹割って(話そう)」って言いながらシャツの前を開く仕草が自然と出たときには、自分が世之介になれてきたような気がしました。」(高良さん)

高良健吾と横道世之介が重なった瞬間

沖田 高良くんが一番印象に残ってるシーンはどこ?

高良 ひとつに絞るのは難しいですが「来た!」って思ったのは、池松くん演じる一平が働く銭湯に行くシーンです。「腹割って(話そう)」って言いながらシャツの前を開く仕草が自然と出たときには、自分が世之介になれてきたような気がしました。

沖田 あったね。急に出てきたから「え? どういうこと?」って言ったのを覚えています。

高良 「いや、こう、腹を割って……」って説明しながら。

沖田 僕は、最後に江口のりこさんが演じるご近所さんに、「あんた、変わったね」って言われるシーンかな。「僕もちょっと成長したのかもしれませんね」って世之介は答えるんですが、自分の成長を自分で言う主人公っていないよね。そのせいでぜんぜん成長している風に見えないっていう構図が面白くて。

高良 そのシーンは個人的に感慨深いものがありました。僕が世之介と同じ18歳のときに、『世界ウルルン滞在記』に出させてもらってインドに行きました。現地での撮影が終わって、スタジオ収録の最後に「一言お願いします」という振りに対して「今回の旅で自分も成長できたと思います」と答えました。そうしたら「そういうことは自分で言うものじゃないよ」と徳光(和夫)さんから注意を受けた思い出があって。江口さんとのシーンを演じたとき「あのときの自分だ!」と思いました。

沖田 まるっきり世之介じゃん。(笑)