配役は適材適所。TBS『インハンド』以来3年ぶりの主演となる山下はジキル役もハイド役もハマる人。永瀬はうってつけの役柄だった。
福原は秋からのNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』のヒロイン・岩倉舞役に決まっている。オーディションで2545人の中から選ばれた。今回の演技もさすがである。
演じている月下は理想ばかり口にして、仕事では永瀬の足手まといになり、おまけに酒癖まで悪い。普通なら嫌われるキャラクターだ。
ところが、そうなっていない。それどころか見る側が最も肩入れしているのは月下ではないか。福原は視聴者に応援されなくてはならない朝ドラのヒロイン向きだ。
圧巻だったのは山崎努。セリフも登場場面も少なかったが、自分が若く、妻も生きていたころを愛おしむ老人を見事に表していた。85歳になった今も日本を代表する名優である。
原作は同名人気漫画。どうして民放がドラマ化できなかったのかというと、不動産業界が有力スポンサーだからだろう。その暗部は描きにくい。