疲労回復のためには、血液の循環を促して、体の隅々まで栄養と酸素を行き渡らせることが重要になります(提供:photoAC)

差がつく「休み方」

休み方にも工夫できることはあります。日曜日が試合だったときの月曜日や、強度が高い練習をした次の日を、休みにあてている場合が多いと思うのですが、このとき積極的に疲れを抜くことをしているでしょうか。

疲労回復のためには、血液の循環を促して、体の隅々まで栄養と酸素を行き渡らせることが重要になります。トップアスリートたちも、試合の翌日は軽いジョグなどで体を動かしています。いわゆる、アクティブレストです。

全身を使う有酸素運動であるジョギングは、血液循環を高めるのにとても有効な手段です。第二の心臓とも言われるふくらはぎの筋肉をよく動かせるというメリットもあります。血液を全身に送り出すのは心臓ですが、体の末端まで栄養と酸素を届けた後、心臓へと戻す必要があります。

このときに、大きな役割を果たすのが、ミルキングアクションと呼ばれるふくらはぎの筋ポンプ作用。ふくらはぎの筋肉の収縮と弛し緩かんによって、心臓に戻る血液がスムーズに押し上げられるのです。

ジョギングであれば、部員全員で集まる必要はありませんし、20~30分程度をゆっくりと走るだけなので、負荷は小さく、時間もかかりません。ストレッチや交代浴などと組み合わせて十分にリカバリーしておけば、ケガのリスクを下げることができ、次の練習も意欲的に取り組むことができるでしょう。

卓球やバドミントンなど、ラケットスポーツのトップ選手たちは、ラケットを持たない期間が1日、2日あるだけで感覚が鈍ってしまうと言います。感覚を維持するために、オフの日もラケットを握って、ときには軽く壁打ちなどをするそうです。感覚を失うと、次の練習が感覚を取り戻すための時間となってしまうからです。

トップアスリートたちはどのようにオフを過ごしているか。これを伝えるだけで、休み方やリカバリーが上手くなり、その結果、練習の質が上がるはずです。練習量を増やす前に、取り組めることはたくさんあるのです。