田村正和が演じる、黒いスーツに身を包んだ刑事『古畑任三郎』シリーズは、一躍三谷の名を世に知らしめることになった(イメージ/写真提供:photo AC)

その名を世に知らしめることになった『古畑任三郎』

とはいえ、『振り返れば奴がいる』の成功は、三谷幸喜に新たな連続ドラマ執筆のチャンスをもたらした。それが、一躍三谷の名を世に知らしめることになった『古畑任三郎』シリーズ(フジテレビ系、1994年放送開始)である。

田村正和演じる刑事・古畑任三郎が、殺人事件のトリックを鮮やかに解く一話完結方式の推理劇。毎回豪華ゲストが演じる犯人役との虚々実々の駆け引きや、西村雅彦演じる部下の今泉とのコミカルなやり取りの面白さもあって、人気シリーズになった。

物語としての特徴は、犯人が誰かは最初からわかっていること。いわゆる倒叙型のミステリーである。

これは、三谷が少年時代から大ファンだった海外ドラマ『刑事コロンボ』を意識したものだった。