秘湯マニアの温泉療法専門医が教える-心と体に効く温泉

2 歴史

約3000年の歴史を誇る日本国内で最も古い温泉の一つで、古代には「伊予の温湯(ゆ)」、「熟田津(にきたつ)の温湯(ゆ)」と呼ばれていた。『日本書紀』や『伊予国風土記逸文』によれば、景行天皇、仲哀天皇、神功皇后、舒明(じょめい)天皇など多くの皇族方が行幸を行っており、聖徳太子も病気療養のため道後温泉に滞在し、碑文を建てたとの伝承も残る。

斉明7年(661)には斉明天皇、中大兄皇子も百済救援の遠征(白村江(はくすきのえ)の戦い)の際、ここに立ち寄って休息し、軍備を整えている(後述)。

平安時代の『源氏物語』には、「伊予の湯桁(ゆげた)(湯の中の仕切り)」という言葉が登場。江戸時代の寛永15年(1638)には、松山藩主・松平定行が温泉を保護し、施設の充実を図っている。