仕事を続けると年金受給額は減る?

定年後も働くとなると、気がかりなのが年金との兼ね合いです。

「年金をもらいながら働くと年金受給額が減る」と聞いたことはありませんか?実際は全員が対象ではなく、60歳以上で年金を受給しながら社会保険に加入し、さらに一定以上の収入のある人の「在職老齢厚生年金」部分が対象となります。つまり、国民年金だけの受給者は対象外なのです。

《一定以上の収入》は2段階に分かれていて、年金改正法で決まっています。従来は60歳から64歳の規定額が28万円でしたが、この4月か、改正が行なわれ、60歳以上は在職老齢年金の規定額が47万円、つまり、年金+月の報酬が47万円を超えた分だけ減額されることになりました(年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました|厚生労働省 (mhlw.go.jp))。
ただ、減額される反面、4月から「年金受給額の開始時期の拡大」もら改正法で認められることになりました。

現行では、60歳から70歳まで年金受給者本人が自分で年金受給開始時期を選択できました。年金の「繰り上げ」とは原則65歳から受給する年金受給開始時期を65歳より前に早く受け取ること、逆に66歳以降に受け取ることを「繰下げ」といいます。

しかし、今回の改正で令和4年4月1日以降に70歳に到達する方(昭和27年4月2日以降に生まれた方)を対象に、上限は75歳に引き上げられ、繰下げ増額率は最大でプラス84%となります。また、現在65歳からとなっている年金支給開始年齢の引上げは行わないので、注意が必要です。

【図表】繰上げ・繰下げによる年金の減額・増額/出典:厚労省HP図を拡大

老後の生活基盤は公的年金額を正確に把握することがベースとなります。わからないことは日本年金機構や社会保険事務所に問い合わせをし、老後資金を計画的に備えていきましょう。詳しくは次回おつたえします。