『魔女たちの22時』出演がご主人との出会いのきっかけに

有名な「元カレがスパイだった」の《初出し》も『魔女たちの22時』。アンミカさんが、ラブラブの御主人と出会ったのも同番組がきっかけです。スタッフが現在のアンミカさんの御主人とゴルフに行くことになったとき、メンバーが足りなくなってしまい、急遽、呼ばれたアンミカさんと御主人が交際、結婚することになったのです。

そんなこともあり、アンミカさんは折に触れて、「今の私が在るのは美保子さんのお陰」と言ってくれます。

実は放送作家という仕事は、このような《きっかけ》を生む機会にとても恵まれています。もちろん、テレビ局のディレクターさんやプロデューサーさんらも、タレントさんや歌手の皆さんが売れる《きっかけ》を作り、番組を通じて育てていく機会がたくさんあります。

それと放送作家のケースが異なるのは、放送作家は一つの局ではなく、複数の局を跨いで仕事をしているので、「この人だ」と思った人を、他局にキャスティングの提案をするなど、より売っていきやすい環境にあるということ。その人が直接の知り合いでなかったとしても、自分が担当する番組の企画会議で当該タレントさんの名前を何度も出し、プッシュすれば、そのタレントさんが多くの番組に出演する《きっかけ》が作れるのです。

それで報酬がもらえるわけではありませんが、企画に応じてプッシュしたタレントさんが力を出し切ってくれて売れていくのを見せてもらうのは至福の喜び。特に私は、そういうタイプの放送作家なのかもしれません。

それには、師匠である放送作家・長谷川勝士の教えが深く関わっています。雑誌や新聞記事の切り抜きを熱心にやっていて、面白そうな文化人にはすぐアポをとる。そうやって時の人たちに、師匠も私も担当していた深夜の情報番組への出演をオファーし、次から次へと叶えて行った長谷川。大学教授もいれば、CMプランナー、画家、クリエイター、当時流行った空間プロデューサー、さらには誰もが知るクリニックの院長などなど、長谷川の《声かけ》で初めてのテレビ出演を果たした《文化人》が大勢いたのです。