『黄金の6年間 1978-1983 ~素晴らしきエンタメ青春時代』(発行:日経BP 発売:日経BPマーケティング)

「花の82年組」が世間に見つかったのは83年

一方、1982年当時、肝心の「花の82年組」のリアルタイムの印象は、さほど強くなかったと記憶する。なぜなら、彼女たちがブレイクするのは、そろいもそろって翌83年前半にリリースしたシングルだったから――。

小泉今日子『真っ赤な女の子』、堀ちえみ『さよならの物語』、早見優『夏色のナンシー』、石川秀美『Hey!ミスター・ポリスマン』――奇しくも、いずれも5枚目のシングルだった。

かくして、「花の82年組」は世間に見つかる。そして歴史は上書きされたのである。あたかも、彼女たちがデビュー1年目からハネていたかのように。ただ1人、中森明菜を除いて――。

そう、中森明菜。花の82年組でただ1人、1年目からリアルタイムで売れ、1位も取った大スター。今回は、そんな彼女のデビューアルバムにまつわる話である。