1人での子育てに不安はなかった

娘は家でも飽きることなく絵を描いています。一人で出かけていった美術展でピカソの原画を見て「今までで一番感動した」と帰宅してきました。心ゆくまで打ち込んでほしいと応援しています。

花音 「尊敬する画家の模写をしたりして勉強しています。色の使い方、構図を真似ることで発見がたくさんあって楽しい。最近は、早めのクリスマスプレゼントでピカソの全作品集を買ってもらいました。ピカソ以外はシャガールやモーリス・ドニ、パウル・クレーが好きです」

娘は小さい頃から独立心が強く、流されることがなくて、なんでも一人で決める子どもでした。小学1年生の頃に自室を与えたら、それから一緒に寝てくれなくなってしまって。「一緒に寝てくれない?」ってお願いしても「ごめんね」って断られるんです(笑)。寂しかったですよ。

ギターとヴァイオリンでセッションすることも(写真提供◎川井さん)

中学3年になった今では、夜に朝食とお弁当のおかずを用意しておくと、朝は私を起こすことなく1人で学校に行きます。夜中に創作や演奏をしている私を気遣って、「何かあったら声をかけてね」と手紙も書いておくのに返事ももらえず、私は「逆ネグレクト」って言っています(笑)。「我が子がずっと話しかけてきて、自分のことができず煩わしい」なんて言う方には羨ましさを感じますね。

娘が幼いころに離婚しているのですが、娘は幼い頃からしっかり者だったので、1人で子育てしていくことに不安はありませんでした。私は、心から元夫と結婚してよかった、そして離婚してよかった、と思っていますし、それを正直に娘に言っています。「お父さんに似て頭がよく生まれてきてよかったね」と娘に言うこともあります。