コラーゲン繊維は太くて頑丈
タンパク質はアミノ酸がつながったポリペプチド鎖という構造からなり、それが折りたたまれて立体構造をつくっています。その形状から、球状タンパク質と繊維状タンパク質に大きく分類されています。
コラーゲンはコラーゲン繊維とも言われ、代表的な繊維状タンパク質です。繊維状タンパク質は細胞外に多く含まれていて、細胞のすきまをうめて結合させて、組織をつくったり、細胞の足場になって組織を支えたりしています。
コラーゲンのポリペプチド鎖は、3本が互いに巻きあって三重らせん構造をつくります。さらにこれが多数集まって束になり、太いコラーゲン繊維になっています。
太さは数マイクロメートル~20マイクロメートル。光学顕微鏡で観察できるサイズなのでかなり太い線維といえます。
また、コラーゲン繊維はところどころで繊維どうしが多数結合して、架橋という強く結びつく構造になっています。強大なコラーゲン繊維が結合し、網目のような構造になっているため、引っ張った時の強さは鋼鉄並みといわれるほど頑丈です。
なお、コラーゲンどうしを架橋するには、プロリンというアミノ酸が水酸化して、ヒドロキシプロリンになることが必要です。このヒドロキシプロリンはコラーゲン特有のアミノ酸で、酵素反応によって生成します。その酵素を作用させるためには補酵素としてビタミンCが必要です。
頑丈な構造ゆえ、コラーゲンは簡単には水に溶けません。体を支えるタンパク質なのだから、水に溶けては意味がないものの、食べるには都合がよくありません。
たとえば、すね肉(足の先)やすじ肉(アキレス腱)のようなコラーゲンを多く含む組織はかたくて食べにくいし、消化も悪いのです。でも、長時間煮込んで食べるとやわらかくなります。
これは、長時間の加熱によって、タンパク質が熱変性し、コラーゲンの三重らせん構造がくずれるからです。さらにタンパク質が加水分解することにより、うまみ成分のアミノ酸やペプチドが溶け出して、いっそうおいしくなります。