水に溶けるようになったコラーゲンが「ゼラチン」

煮こごりなど肉や魚の煮汁が冷えると、一回溶けたコラーゲン分子が再度集まって網目構造を作ります。このとき、網目構造の中にたくさんの水分を抱き込んでゲルになり、プルプルの食感が生まれます。

このように三重らせん構造が崩壊し、水に溶けるようになったコラーゲンをゼラチンといいます。

市販されているゼラチンは、豚など動物の皮や腱からコラーゲンを熱水抽出し、精製して乾燥させたものです。それを煮溶かし、砂糖や果物を加えて冷やし固めれば、おいしいゼリーができあがります。

ただし、パイナップルやメロンなどの果物を生のまま加えるとゼリーは固まらないので要注意。果物の中にはタンパク質分解酵素があり、ゼラチンのタンパク質を分解してしまいます。そこでゼリーを固めたいときは、缶詰の果物など、加熱して酵素が失活したものを使います。お菓子のグミもゼラチンでつくられています。

果物入りのゼリー。固めるために缶詰の果物など、加熱して酵素が失活したものが使われている(写真提供:Photo AC)

薬のカプセルや止血用スポンジの材料になる医療用ゼラチンや、かつてよく使われていたフィルム写真の定着液の原料になる写真用ゼラチンもあります。

工芸品や日本画ののりとして使うにかわもゼラチンです。にかわは動物の皮や骨を煮込んでつくりますが、食用ゼラチンに比べ精製度が低く、黒っぽい色をしています。くっつけたり、はがしたりが容易なので高価な楽器の修復にも使われます。