適度に食事に取り入れるのも
研究者たちは、動物にコラーゲンを投与して骨や皮膚に対する有効性を調べたり、体内に入ったコラーゲンの動態を調べたりしてきました。
その結果、コラーゲンを食べたとき、半分くらいはアミノ酸がいくつかくっついたペプチドのままで吸収され、またコラーゲン特有のペプチドが、生体内で繊維芽細胞の増殖を促すことがわかってきました。
この細胞は皮膚の機能を保つのに重要な細胞で、結合組織に存在して、コラーゲンなどのタンパク質を合成します。
コラーゲンの効果はまだ研究の途中で美肌効果についてはわかっていませんが、タンパク質としての栄養分は確かなので、適度に食事に取り入れるのもいいのではないでしょうか。
また、コラーゲンの豊富な牛すじや手羽、鶏皮、魚の皮などは廃棄されやすい部分ですが、うまく活用できれば食品ロスを減らすことも期待できます。
※本稿は、『本当に役立つ栄養学―肥満、病気、老化予防のカギとなる食べものの科学』(講談社)の一部を再編集したものです。
『本当に役立つ栄養学―肥満、病気、老化予防のカギとなる食べものの科学』(著:佐藤成美/講談社)
体にいい、悪いで語られがちな食べものについて、多くの人がわかっているようでわかっていないという実態を感じて、現在わかっている食の科学を理解し、正しい情報の受け取り方ができるようにという思いで執筆した1冊。栄養学的な面と、複雑な体の代謝のしくみをなるべくやさしい言葉で解説します。食品によっては、時代的背景も関係していたり、健康ブームの空気にのって「良い食べもの」になっているものも。食と代謝はまだまだ解明されていないことも多いのですが、わかっていることをクリアにしながら、誤った認識に陥らない方向を示します。