レム睡眠は脳や体の回復にどう関わっているのか

寝ている間に脳で何が起こっているのでしょうか。脳の活動は外側から観察できないので、研究が難しかったのですが、脳波が測定できるようになると、さまざまな研究が進みました。睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠という2種類の睡眠で構成されることもわかりました。

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レム睡眠は、眠っている間も大脳の一部が活動し眼球が動くという特徴があります。それ以外の睡眠がノンレム睡眠で眠りの深さによって4段階に分類されています。 

眠りは深いノンレム睡眠から始まり、朝方に向けて徐々に浅いノンレム睡眠が増えます。その間に約90分周期でレム睡眠が現れます。

ノンレム睡眠は大脳が発達した哺乳類や鳥類でみられ、昼間に酷使した大脳を休ませるための睡眠と考えられています。一方、レム睡眠は、大脳を活性化させる眠りとされています。

レム睡眠の間は、夢をよく見ます。脈拍や血圧も変化し、覚醒の準備状態にある睡眠ともいえます。

これまで、レム睡眠が脳や体の回復にどのように関わっているのかはよくわかっていませんでした。筑波大学などの研究チームは、ネズミを使った実験でレム睡眠の間に大脳皮質の毛細血管で赤血球の流入量が大幅に増加していることをみつけました。

脳の毛細血管では、脳に必要な栄養素や酸素が送られ、不要な二酸化炭素や老廃物を回収する物質交換が行われます。赤血球の流入量が増加したことから、レム睡眠の間は、脳で活発に物質交換が行われ、リフレッシュされていると考えられました。

また、この現象には、アデノシン受容体が重要であることも示されています。アデノシン受容体は、カフェインが結合するところでもあり、カフェインとレム睡眠との関わりも今後示されるかもしれません。