次に会ったときは普通に話そう、娘を連れて行けば元に戻れる、でも今はまだ喋りたくないの、時間が必要、と思っていた。

だけど、次に会ったときはICUだった。

わたしは謝りたかったけれど、入れ替わり立ち替わり看護師さんがくるし、1人になる時間ができても、この期に及んで素直に謝ることのできない自分がいた。

父は、持ち直したり
危なくなったり
持ち直したり
危なくなったり
しばらく「今夜が山だ」が続いた。

その度に東京から愛知の瀬戸市まで向かった。持ち直したと聞けば安堵し期待し、危ないと聞けば一応覚悟のお稽古みたいなことをしてみた。シーソーみたいな毎日は、とてもとてもとても疲れた。

父は亡くなった。
結局謝ることはできなかった。
ICUでわたしはタレント然としていた。娘では、なかった。娘になると、心が壊れて倒れてしまいそうだったのかもしれない。タレントを演じて、かろうじてそこに立てていたように思う。

謝ればよかった。
ちがう。
あの電話であんなことを言わなければよかった。

わたしは、後悔している。

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