イラスト:関口ユートピア
凝りをほぐすだけでなく、気になる不調も解消される「ツボ押し」。多くの女性を健康に導いてきた鍼灸マッサージ師の柳本真弓さんが極意を伝授します(イラスト◎関口ユートピア)

気血を毎日整えて健康促進

当院を訪れる患者さんの中でも、年を重ねた女性に多い不調が、ほてりや冷え、不眠、食欲不振などです。東洋医学では、女性は50歳前後で閉経すると、「腎精(じんせい)」(生命のエネルギー)が減少すると言われます。

例えば、冷え症の方が増えてくるのは、体を温める力が弱くなるから。ほかにも、消化吸収力が落ちるため、食事から必要なエネルギーを上手に取りこむことができないという悪循環も起きてきます。

さらにコロナ下で、腰や肩の痛みを訴える方も増えました。外出頻度が減り、結果として運動不足になっていることが影響しているのでしょう。

私は痛みのある局部だけでなく、全体を見て鍼灸治療を行っているのですが、その効果を持続させるのはもちろん、毎日の疲労を溜め込まないためにも、ご自身でのメンテナンスが不可欠。そこでおすすめしているのが、「ツボ押し」です。

そもそも「ツボ」というのは、2000年以上前から伝わる、体の表面にある反応点のこと。ツボは、内臓に繋がった12本の「経絡(けいらく)」と呼ばれるライン上に沿って並んでいます。経絡の中には「気血(きけつ)」(血は血液、気はエネルギーのようなもの)が流れているのですが、何かの拍子に流れが滞ると、さまざまな不調として表れてくる。

そこで、ツボに適切な刺激を加えると、気血の巡りがよくなり、経絡で繋がった臓器にもいい影響を与える、というわけです。この効果を「血流がよくなる」「自律神経が整う」と表現することもあります。

日々の食事が体を作るのと同じように、気血を毎日整えることが健康促進に繋がります。そういう意味で、誰でも手軽にできるツボ押しは、生活習慣に取り入れるのにぴったり。毎日行えば自然と体内バランスが整い、症状が和らぐだけでなく、予防効果も期待できるのです。