叔母のお見舞いをサボりっ放しにして

そうこうするうちに、こちらは中年を過ぎた働き盛り。親戚筋で「おじさま」「おばさま」と呼びなれた人々との別れの季節がやってきました。

遠縁ですが、一族で一番偉い女性から「勝手ながらお見舞いご無用」のお触れが来て、「身だしなみのよい明治の女」はそういうものか、と納得しました。

そのノリに便乗したように、私はとても親しくかわいがられた叔母のお見舞いをサボりっ放しにしました。

私は60代。大学教授と物書きの現役であり、政府の審議会も60代というのはまさに適齢期で、折から介護保険法、男女共同参画社会基本法など関心ある分野の立法の時期でした。その間3年3カ月、重度脳梗塞で入院中の夫を抱える身で、病院というならこちらが先でした。

その上、これも回り回っての話ですが「おばさまは、お見舞いお断りっておっしゃっているそうよ」という情報が入ってきました。私は半世代前の「偉いおばさま」の話を思い出し、「では、そうさせていただきます」という感じでした。