笹本さんの暮らすケアハウスにて、20年来の仲の筆者(左)と

何も心配せずに寝られるありがたさ

45年、東京大空襲。そして、敗戦。日本は一挙に変わりました。

電気をつけて、寝間着を着て、普通に布団に入って、何も心配せずに寝られる。普通に表を歩ける。自由にものが言える。ほんとうにありがたいことだと思いました。

その時、ジャーナリストのむのたけじさんは、『朝日新聞』の記者だったのを、戦争に関わった責任をとるためにきっぱりお辞めになった。思わず手をたたきましたね。本当にごりっぱだと思いました。私も含め、結果として戦争に加担する仕事をした方々はたくさんいたのですから。

以来、むのさんは、故郷の秋田県横手市で、おひとりで週刊新聞『たいまつ』を発行、101歳で亡くなるまで、平和を訴え続けられました。念願かなってお会いしたのは、101歳で亡くなられる直前の、2016年。『笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ』という映画に同い年同士で出させていただきました。

戦争が終わって、一番うれしかったのは、男女同権になったことかしら。女だからいけない、女のくせにって言われてたのが、なくなった。

うれしかったですねえ。

平和な時は当たり前だと思っていたことが、気が付いたらいつのまにか変わっていた――。そんな日がまた来ることがないように、明日死んじゃうかもしれないけど、生きてるうちは言い残しておかなきゃね。