「結婚するならこの人」と決めていた
高島 おしどり夫婦と言われても、自然の流れに従ってやってきただけなんですよ。自分たちがいい夫婦かどうかなんて考えたこともない。
寿美 夫婦ゲンカはしませんよね。子どもたちなんて、夫婦ゲンカってテレビドラマの中だけのことだと思っていたのに、友達の家に行ったら本当にやっていて、すごく驚いたんですって。
高島 そういえば、怒ったこともないなぁ。
寿美 私があなたを怒ったことはありますけどね。
高島 僕は怒られると、「はい、ごもっともです。すみません」と、ひたすら低姿勢で謝る。そこで言い返さないから、ケンカにはならないんだ。
寿美 焼き肉を食べ過ぎて入院騒ぎを起こしたり、止めるのも聞かずに腐りかけのカニを食べてお腹をこわしたり、あまりにくだらないことで怒らせるんだもの。言い返す言葉なんてないでしょう。
高島 ……はい、ごもっともです。(笑)
寿美 でも、あなたは本当にやさしかった。私はテレビ番組の収録ではじめて会ったときに、すでに「結婚するならこの人」と決めていたのよ。
高島 僕は当時話題だった『華麗なる千拍子』を観に行ったとき、あなたが舞台で歌った『ラストダンスは私に』を聴いて、「これはたいしたもんだ」と、心を撃ち抜かれてね。
寿美 はじめてのデートを覚えてる?きっかけをつくりたくて、私が誘ったのよ。『カルメン』を見て、神戸の「北野クラブ」で食事をして。あのとき二人で踊ったけど、あんまりくっつかなかったわね。微妙な距離があった。(笑)
高島 僕は純情だったから。
寿美 確かに、私に対してだけは純情でしたね。それまでは、いろんな方とのおつきあいがあったはずですけれども。
高島 は―、いやいやいや……。
寿美 私にとって、あなたははじめて好きになった男性。宝塚にいると、男性と接する機会なんてほとんどありませんでしたから。最初のデートから結婚を意識していたんです。
高島 そうそう、帰り道で急に車を脇に止め、後ろに座っていた僕のほうをくるりと向き直ってね。
寿美 質問攻めにしたの(笑)。月給はいくらですか? ご両親に仕送りをしていますか? 持ち家ですか? 借金はありませんか? ガールフレンドはいますか? って。
高島 ちょっとびっくりしたけど、大真面目に聞かれたから、僕も真剣に答えました。