兄たちにライバル意識はあります

2001年生まれ。2004年9月、3歳の時に歌舞伎座で「男女道成寺」の所化仙念坊などで初代中村宜生を名乗り初舞台を踏む。2016年10月、父が3代中村橋之助改め8代目中村芝翫を襲名した時、4代目中村歌之助を襲名。長兄・中村国生は4代目中村橋之助、次兄・中村宗生は3代目中村福之助を襲名した。

以降、「義経千本桜」の駿河次郎、「梶原平三誉石切」の大名岡崎将監、「壇浦兜軍記」の棒沢六郎、岩永左衛門など古典歌舞伎の役を積み重ね、研鑽を積んできた。

歌舞伎の道に進むことには躊躇はありませんでした。小さいころから母が手を引いて歌舞伎座に連れていってくれたことが、僕たち3人兄弟が歌舞伎を好きになった最大の要因だと思います。早くして好きなものに出会えたこと、同じ道を進む兄たちがいることは神様に感謝したい。

幼い頃の写真。一番前から歌之助さん、福之助さん、橋之助さん(写真提供◎歌之助さん)

もちろん、兄たちにライバル意識はあります。父からは「兄弟で傷のなめあいになってはいけない」とよく言われます。いい距離感を保つことが必要です。ぶつかった時でも、「もういいよ」と突き放すのではなく、互いが納得して終わる結果にできるのは、兄弟だからこそです。

古典を学ぶことはとても重要です。特に、古典をきちんと学ばずに新作をやるのは、僕はタブーだと思っています。漫画をただ舞台で上演するのだったら、現代劇と同じになってしまう。先輩方が「歌舞伎の匂いがしない」とおっしゃることがあります。新作を僕たち歌舞伎役者がやる意味は「歌舞伎の匂い」をさせることです。見終わった時に、お客様に「歌舞伎だったね」と言ってもらわなければなりません。古典を学ばずしてそれはあり得ません。