「いい意味で無欲」なスタンス

先日、映画『SABAKANサバカン』についてインタビューしたときにも草なぎさんは変わらぬスタンスで、監督で脚本も担当した金沢知樹さんのことを「僕は全く知らない方だったんだけど……。(知っていて、引き合わせてくれた)飯島さんって、すごいよね」と。

飯島さんだけではありません。草なぎさんの仕事についてミーティングを重ねてくれるスタッフの皆さんにも草なぎさんは感謝を述べます。

《出逢い》のお膳立てをしてくれる飯島さんにはもちろんのこと。現場で会う年上の俳優さん、最近、激増した年下の俳優さんや女優さんとの出逢いに対して、「すごい刺激をもらった」と目を輝かせるのです。

きっと、心の中にスポンジのような柔らかな部分をもち、その後、外から入ってきた水分をどんどん吸い込んでいくから、スポンジの水分は常に満たされ、ときには水が滴り落ちるほどになる……。

昨今の評価や素晴らしすぎる現状についても「だって僕一人の力じゃないから」と、これまたサラリと言う草なぎさん。この謙虚さが現場でも、スタッフにも愛され続ける秘訣なのだと思いました。

ありがたいことに、今も忙しく仕事をさせてもらっている私ですが、時折、「自分はこのままでいいのか」と思うし、人からは「もう少し仕事を選んだほうがいいんじゃない?」というアドバイスをもらうこともあります。

そんなとき思い出すのは、草なぎ剛さんの「いい意味で無欲」なスタンスです。

ちなみに草なぎさんは、『SABAKANサバカン』のメインである2人の子役、番家一路くんと原田琥之佑くんについても、「最高に、いいんだよね~」「すごくがんばってくれた」とその演技を大絶賛していました。

こうした話のときにも肩の力が抜けていて、当然のことながら《演技論》のようにはならない草なぎ剛さんは本当に素敵な俳優さんです。これからも学ばせていただきます。

映画『SABAKANサバカン』(写真提供◎山田さん)

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