よくも悪くも、我ながらすごい時期だった
ブラック・ライブズ・マターのときも、ニューヨークの街はすごかった。
人種差別に対する黒人の抗議運動なんですけど、問題が複雑に絡み合っていて、ぼくの黒人の友達でも、人によってこの運動に対する考え方はさまざまです。興味ある人は調べてみてください。
ただ、このブラック・ライブズ・マターの余波で、街の治安が悪くなったのは間違いありません。
暴徒化した人たちが、高級ブランド店やスーパーマーケットを襲ったんです。ガラスが割られたりして、その防衛のために窓に板を張る建物が増えたりもしました。
ぼくの住んでいるマンションでも、夜、まさにぼくの目の前で、1階に入っているギフトショップが襲撃されました。
店のガラスが割られて、商品が強奪される。最後はゴミに火までつけられたんですが、ぼくは何もできなかったです。「おまえら、何やってるんだよ」なんて言ったら、ボコボコにされるのは目に見えていましたし。
こんなこと本当に起きるんだって、まるで映画の世界でしたね。
ブラック・ライブズ・マターが落ち着いてくると、今度は大統領選がはじまって、トランプからバイデンに代わりました。ニュースで見た人も多いと思いますが、これもまた国を挙げてのけっこうな混乱ではありました。
よくも悪くも、我ながらすごい時期にアメリカ、それもニューヨークにいるなと思います。たくさんのことを学んだし、経験をしました。
※本稿は、『HI, HOW ARE YOU?』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
『HI, HOW ARE YOU?』
(著:綾部祐二/KADOKAWA)
綾部祐二、5年の沈黙を破る! なぜアメリカに渡ったのか? 目標に掲げたレッドカーペットまでの現在地は? 日々の暮らし、英語力、人生哲学、そしてこれからのこと……。5年間日本に戻らず向き合い続けてきた思いを綴る初めてのエッセイ集!