松本さんは『婦人公論』2022年2月号の連載「名優たちの転機」で、歌舞伎との出会いを以下のように語っている。

「歌舞伎の家に生まれていながら、父と一緒に松竹から東宝に移って、22歳で『王様と私』というブロードウェイ・ミュージカルのキング役に抜擢された……それが私の第一の転機かもしれませんね。越路吹雪さんが家庭教師のアンナ・レオノーエンズ役。あのときはみんなびっくりしましたからね」

また、『ラ・マンチャの男』に関しては

「お父さんの中村屋のおじ(十七代目勘三郎)も、『ラ・マンチャの男』はもちろん『スウィーニー・トッド』というミュージカルからストレートプレイの『アマデウス』に至るまで、とにかくよく観に来てくださって、そして褒めてくださった。親父とはずっとライバルで、とにかく腕を競ってましたね」と思い出を語った。

娘である松たか子さん(右)と

公演中止を「あるがままの現実」と受け止めつつ、未来に向かって「あるべき姿のために戦う」ことは、『ラ・マンチャの男』にかかわるすべての公演関係者にとって共通するテーマ。その思いが「幻のファイナル公演、奇跡の復活」へと向かわせたという。

松本さんの前人未踏の偉業がどうフィナーレを迎えるのか。「最後の雄姿」が今から楽しみだ。

◆『ラ・マンチャの男』は、2023年月4月14日から24日まで、全10公演「よこすか芸術劇場」で上演予定。作品公式サイトURL https://www.tohostage.com/lamancha/

『ラ・マンチャの男』ポスター