イラスト:川原瑞丸
ジェーン・スーさんが『婦人公論』に連載中のエッセイを配信。今月はジェニファー・ロペスについて。「現代を生きる女神」と崇める彼女のドキュメンタリー映画を観たスーさん。笑われても無視されても、一歩一歩山を登ってきた結果と努力の積み重ねを映像で観て、あらためて胸に迫るものがあったそうで――。(文=ジェーン・スー イラスト=川原瑞丸)

私はジェニファー・ロペスが大好きだ

アメリカの歌手であり俳優でもあるジェニファー・ロペスのドキュメンタリー映画『HALF TIME』を観た。アメリカで最も視聴されるテレビ中継、NFLスーパーボウル(アメリカンフットボールの決勝戦)2020年のハーフタイムショー出演への道のりを主軸に、彼女の半生を描いたNetflixの作品だ。

ちなみに、NFLスーパーボウルのハーフタイムショーには、国民的スターしか出演できない。つまり、彼女は国民的スターとして認められているということ。私はジェニファー・ロペスが大好きだ。現代を生きる女神として崇め奉っている。世間の評価にも差別にも自身の年齢にも、「負けるもんか!」の心意気で挑む姿が眩しい。ニューヨーク州ブロンクス出身。両親はプエルトリコ生まれのアメリカ人だ。

アメリカの人種構成で最も多いのは白人だが、アフリカ系やアジア系より人口が多いのが、メキシコ、チリ、プエルトリコなどラテンアメリカをルーツに持つヒスパニック系だ。人口のおよそ20パーセントを占める。ラテン系アメリカ人というと、トランプ前大統領の政策のせいで、日本では不法移民の印象が強いかもしれないが、現実にはジェニファー・ロペスのようにアメリカ生まれのヒスパニック系が圧倒的に多く、移民の倍以上いる。