年齢を重ねてからもう一度読むと

いろいろなことに疲れ、新しく何か読んだり観たりするのもつらいとき、好きな本やコミックを再読するのはほどよい精神安定剤になりますよね。慣れ親しんだ味の料理にほっとするのと、似ているかもしれません。

年齢を重ねると少々のことでは驚かなくなって、感情が凪みたいになりがちでしょう。でも懐かしい本を再読すると、あの頃の感情がふわっとよみがえったり、「意外にちゃんと読めていなかったな」と発見して心が動いたりする。本にはそうした力もあるように思います。

この夏から私は、従妹たちと3人で静岡県焼津市にある祖母の家の片付けを始めました。もとは祖父母が暮らし、私たち家族も一時期住んでいた家が、母が亡くなった後ずっと空き家になっていたのを、とうとう壊すことになりまして。

母の葬儀を終えて親戚が集まった後、7年間誰も足を踏み入れなかったため、電気もつかない部屋にコケシが30体以上並び、古いフランス人形を持ち上げたら両脚がもげたりと、かなりホラーな雰囲気でした。押入れから誰の物ともわからない義足が出て来た時も、ぎょっとしましたね。(笑)