自分が恐ろしくなったことも

発症から5年後にようやく精神科医療につながったものの、問題は解決しませんでした。繰り返される入退院と自殺未遂。摂食障害に加えて発症したアルコール依存症。私は仕事のほかに、妻の問題行動への対応、入退院の手続き、家計管理、最低限の家事などに追われました。

アルコール依存が重くなってからの数年間は、それまでのなかでも特につらい時期でした。妻は体重が20キロ台半ばまで落ちても飲酒がやめられず、内臓障害は悪化。酔って転倒しては打撲や骨折をする。

私が妻になじられたり暴力を振るわれることもありました。ひどくなる酒乱に耐えきれず、妻を怒鳴ってしまったときは、自分が恐ろしくなったことも。

でも不思議と彼女に対して悪い感情ばかり抱いたわけではありませんでした。本来の妻は思いやりのある優しい人です。何より本人が悪くてこうなったわけではありません。

そんななかで19年、妻がアルコール性の認知症にかかっていることが判明しました。このとき妻は46歳。

今のところ症状は軽度のまま推移していて、訪問看護や家事援助を受けながら自宅療養しています。酒を飲まなくなって3年、妻の言動は少しずつ穏やかになり、最近はよく笑顔も見せてくれるようになりました。