「忠実な犬」として使えるかどうか

忠常はあまり得意ではないながら、知恵を絞って考えたんでしょう。だけど結局、明快な答えは出ない。

「うーん、とりあえず、この前の比企どの暗殺の褒美をいただきに、時政どのに会いに行くか。時政どのの態度や顔色で、どう行動すべきか考えつくかもしれないからな」

おそらくは、そんなことを考えて忠常は北条邸に向かったものと思われます。何食わぬ顔で出迎える時政。でも彼は、すでに義盛から、追討命令が出ているのを聞いていた。

素直に言上すれば良し。隠し立てするとなれば、こいつは北条の忠実な犬としては使えない。比企殺害の口封じも兼ねて、殺すしてしまうにしかず。

というわけで、褒美をもらって気持ちよく家路についた忠常は、あわれ、時政の命を受けた討手に命を奪われたのでした。