「どう説明するか」を悩んだ忠常
もしそうであるなら、義盛には正面から合戦をしかける軍事行動を期待し、忠常には匕首一閃、接近して時政の命を奪う、殺し屋としての行動を命じた、と解釈してみます。
殺し屋は警戒されてはまずい。一方、時政と忠常はともに伊豆の住人で、二人の関係は深そう。だからこそ、時政に差し向けるにはうってつけ。
さて、どうしよう。忠常は悩んだ。
たぶんそれは、頼家につくか、時政につくかというようなものではなく、自分の立場を時政にどう説明しようか、というものだったでしょう。
派閥争いの激しい社内で「専務」派だったあなた。そこへライバルの「常務」派閥から誘いがあったとします。
「専務」派の勝利を確信しているから、鞍替えはあり得ない。でもへたに「専務」にありのままを報告して、スパイ疑惑でもかけられたら敵わんな……って惑いません?