スピードメタルでメジャーに殴り込みをかけたX

80年代に“ジャパメタ”と呼ばれたジャパニーズメタルのムーブメントがあった。

そのシーンの雄、44MAGNUMは後年ポップロックへ転向、そして1989年に解散した。同年、44MAGNUMの弟分であるD’ERLANGERもメタルからゴシックへ転向した耽美でデカダンな“サディスティカルパンク(SADISTICAL PUNK)”を高らかに奏でる『LA VIEEN ROSE』でシーンに躍り出た。

『知られざるヴィジュアル系バンドの世界』(著:冬将軍/星海社新書)

ジャパメタシーンを彩ったバンドが“脱メタル”をし、「メタルはもう古い」……そんな風潮が広がり始めたこの年、「時代が変わる。今、青い血の雨が降る。」とメロディックなスピードメタルでメジャーに殴り込みをかけたのがXだった。

Xが注目されたのは、その過激性と奇抜なビジュアルからであったし、一般層に知られるきっかけになったのはテレビのバラエティ番組への出演だった。

『上海紅鯨団が行く』(フジテレビ系列)、そして『天才・たけしの元気が出るテレビ‼』(日本テレビ系列)でXの知名度は飛躍的に上がった。HIDEのXの加入後初仕事は同番組での「やしろ食堂」という古い食堂で演奏する、シュールな企画だった。