YOSHIKIの才とビジュアル
Xの成功はメタルに収まらない高い音楽性と演奏力があったからに他ならないわけだが、同様に強大なカリスマ性があったことも大きい。
特にYOSHIKIだ。
ロックバンドの花形であるギタリストでもなければ、フロントマンであるボーカリストでもない。いちドラマーがバンドのイニシアティブを握り、ステージでもメディアにおいてもメンバーの誰よりも目立っているバンドなんて、世界中どこを探してもXだけだろう。
Xの大きな武器であるメタルとクラシック音楽の融合はYOSHIKIの才によるところのものであるし、感情の赴くまま、己のすべてを叩きつけるような壮絶なドラミングと麗しく奏でられるピアノの調べ、プレイヤーとしての対極的な二面性は多くの者を惹きつけるに十分であった。
さらにそのビジュアルだ。
エレガントなドレスを纏い、長い髪を振り乱しながら演奏する姿はそれまでのメタルやゴシックな黒服系にはない色香を放っていた。いわゆる“女形”というヴィジュアル系スタイルに影響を与えたことはいうまでもないだろう。